オムライス

 オムライス、あるじゃないですか。

 チキンライスに薄い玉子焼きを被せ、その上からケチャップで文字を書く、あの魅力的なメニュー。

 一応、自分は自炊をしているし、仕事上一緒に寝泊まりすることが多い実弟の食事を少なくない頻度で用意します。その経験から思うのですが。

 オムライスにケチャップで書く文字って、ハートマークとか、だいすきとか、Loveとか、そういうのが多いじゃないですか(断定)。
 あれって、故のない事ではないと思うのです。

 オムライスを作るには、ご飯を炊き、玉ねぎと鶏肉を細かく刻み、味付けに気を付けながら炒め、しかも同時進行で薄い卵焼きを焼かなければいけない。
 ちょっと凝ろうと思えば専用の型(ラグビーボールを半分に割ったようなアレ)が必要になるし、破れないように玉子焼きをかぶせるのは難しい。
 しかも作り置きがしにくい。チキンライスだけならば、作っておいて食べるときに再加熱してもいいけれど、オムライスの場合は卵をかける上に暖かくないと美味しくないので、ちゃんと食べたいのならば、作る相手が居る時に調理をする必要が出てきます。
 さらに、食べさせる相手が複数だったりなんかしたら、自分は食べずにどんどん卵を焼いていかなければならないなんて事態にすらなります。

 一言で言うならば、面倒くさい料理なのです。
 
 もっとわかりやすく表現すると。

 「愛がないと作れない」料理なんじゃないかと。

 少なくとも、自分の場合は実弟に作ってあげようとは思いません。面倒臭すぎます。
 自分のために作るなんてもっての他。そんなことやってられません。オムライスを食べようと思うのであればどこかに食べに行きます。

 オムライスを作るのに必要なのは、材料とか調理器具とか、時間とか料理の技術とかだけではありません。
 アツアツの恋人に対して、とか。愛する子どもたちに。といった、大きな愛こそが必須だと思うのです。
 だからこそ。
 オムライスを作る人達は、ケチャップで文字を書くのです。
 その愛を伝えるために。いや、もしかしたら伝わらなくてもいいとすら思っているのかもしれません。
 
 ただ、その愛が溢れるがゆえに。
 
 今日もどこかのオムライスの上に、赤くLoveの文字が踊っているのです。

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ああ、オムライス食べたいなぁ……。

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