自作小説『キキさんのアルバイト』 加筆部分 閑話休題キャラ紹介 ルギエとモコ

キキさんを含め、リーダーの元で家族としての絆で結ばれた五人の「人ならざる者」

作中の閑話休題として紹介するのですが、最後の二人、ルギエとモコ。

モコは本編エンディングでも出てきますが、どうしても「唐突すぎる」という感が拭えませんでした(とある人にもそれを指摘された)。
なので、予め名前と存在だけを先に提示しておきたい、という思惑もあります。

ルギエは「キキさん」の本編ではまったく登場しません。
ただ。
キキさんが屋敷に篭っていたりアルバイトをしたりし、ルサが森に棲む者たちのリーダーとして人間社会に反抗している時代。
とある理由によって「一処にとどまれない」という呪いを掛けられたルギエが、「花嫁修業」と称して各地を転々とするも、持ち前の単純な正義感と戦闘能力からその土地土地で厄介事に巻き込まれて、それを力づくで解決してしまうという、「武者修行」あるいは「時代劇」のような短編連作を書いてみたいとは思っています。

そんな二人の紹介文になります。

3.四番目の仲間 八剣のルギエ

○見た目と性格
 長身で黒い短髪、筋肉質の身体に日に焼けた健康的な肌。髪と同色で力強さのある瞳を持つ女性。
 動きやすい格好を好み、肌の露出もあまり気にしないため、普段は薄着。戦闘を含めたクエスト中は長袖のジャケットとダブついたズボンに硬質の手甲と脚絆、羽飾りの付いた鉢金を着用する。
 年齢も仲間になった順番もキキさんより下で、人間ならば二十代前半くらい。
 性格は単純で正義感が強く、何事も白黒をはっきりさせたがる。筋が通っているかどうかにこだわる、いわゆる竹を割ったようなタイプ。
 その単純さを苦手と思う人も少なくないが、ハキハキとしてよく笑い、誰とでも仲良くなるような人懐っこい性格でもあるため、嫌われることはあまり無い。
 武術や戦闘能力へのこだわりは強く、アタッカーである事をアイデンティティとしている。そのため周りからは男性っぽいと見られているし、それは本人も理解しているため必要以上に男性的な振る舞いをすることもあるが、内心では「可愛らしいこと」への憧れがある。
 例えば、なりたかった職業が「お花屋さん」や「お菓子屋さん」などだったり、将来の夢が「かわいいお嫁さん」だったりする。
 人や物をすぐに好きになってしまう惚れっぽさがあるが、心の底から惚れ込むという事は稀なため、飽きっぽい性格と見られる事も。ただし心底掘れたものに対しては真面目で一途。それは武術に対しても、また異性に対する恋愛感情でも同じである。


○生まれと仲間になった経緯
 古戦場にて、折れた八本の剣が大気に満ちる魂と習合して生まれた。
 四本の脚でかつての激戦の野をうろつきながら、剣と一体化した四対八本の腕を振るい眼に付くものを切り裂いていた。
 人々がこれを畏れ、その地区の主教を通じて退治を依頼。請けたリーダーたちが、激しい戦闘の末に名前を与えて仲間とした。
 名前と理性を持ってからは姿も変わり、人間の女性のような格好になったが、その本性は八本の腕と四本の脚を持つ異形。仲間になった後でも、戦闘でピンチに陥ると理性を失い、その本性の姿で暴走し、敵も味方も切り刻もうとする。
 仲間になってからは武術の訓練に精を出し、様々な武器を使いこなすようになる。弓やボウガンも扱うが、基本的には近接武器を好む。最終的には長い鞭と短剣を好んで用い、状況によって使い分けるようになった。
 しかし、本当の強敵と向き合った時には、八節の蛇腹刀を抜く。
 理性を失って暴走する時には、この蛇腹刀の一節一節が剣となり、八本の腕となる。

○能力とパーティでの役割
 戦闘においては、典型的なアタッカー。常に最前線で敵に強烈な斬撃を加える。周りとの連携は不得意で、とにかく攻撃一辺倒の動きをする。
 その機動力と攻撃力はパーティでも随一。先の先を取るファイトスタイルで、一対一だろうが多数相手だろうが苦手にはしていない。しかし、攻撃に特化するあまり防御には難があり、彼女の攻撃をしのぎ切って反撃してくるような相手には分が悪い面がある。
 奥義である不動剣は、不動の構えから威力絶大の先制攻撃を放つ。その一撃必殺の技から逃れた敵は“一人しか存在しない”。
 戦闘以外では、パーティの行動方針に口を挟むことは少く、キキさんが立案した計画や、実戦でのルサの指示を、ほぼ無批判かつ忠実に実行するまさにパーティの剣。
 普段の生活では、趣味として料理を好み、全体の食事をキキさんと共に賄う。
 料理の腕はキキさん以上で、日常的な食事はともかく、お菓子などの特別な食べ物に関しては彼女の独壇場。
 また、料理の素材に拘るあまり、館の庭に小さな畑を作っていた。
 試作品を作ってはワシリーに食べさせ感想を聞き、それ故にワシリーからよく懐かれている。


○一言紹介とその後
 パーティの攻撃担当兼ムードメーカー。頭がいいとは言い難いが、どんな苦境であっても笑顔を見せる楽観的な性格と、どんな窮地も力技で切り抜けるだけの実力を持つ女傑。
 料理が上手く、そのためワシリーからよく懐かれ、ルギエも彼女を可愛がっている。
 ルサとは少しタイプが違うが、頼まれるといやとは言えない性格。ただしルサのような万能性はなく、だいたいの場合、最終的には力づくで問題を解決する。
 リーダーが異世界へ行ってからは「かわいいお嫁さん」になるために出会いを求めて館を出て、「花嫁修業」と自称して放浪するが、その能力と性格、能力から、世の中の不義を見逃せず事件を解決して回る事になる。
 やっていることは実質「武者修行」であった。
 それでも、ある出来事を切っ掛けに一人の男性に惚れ込むのだが……。

 それはまた、別の話である。



4.紅い月のモコ

○見た目と性格
 紅く長い髪が特徴的な、神秘的な美しさを持つ女性。
 赤と黒のロングコートと、大きなボストンバッグがトレードマーク。喋り方や性格はおっとりとしており、どことなくエロい雰囲気がある。
 年齢はルギエと同じくらいで、精悍なイメージがある彼女とは見た目も性格も正反対の印象。
 とにかく掴みどころがなく、その時々で考え方が変わる。また、非常に知的好奇心が高く、疑問を持つとそれをひたすら追求する。
 おっとりとした喋り方とその性格のため、他人からは天然系不思議ちゃんというイメージを持たれるが、実際には理系特有のドライと言えるほど合理的な考え方をしている。
 何事にも「最初に目標を設定してそれを求める」のではなく、「その場や状況に応じた最適解」を模索しているのだが、自分のやり方や考え方を説明する気がなく、納得していない相手を説得する事を無駄な労力とすら考えているので、他人から誤解を受けやすく、一度誤解が生じると関係を修復できなくなってしまう。
 また、薬師でもあり、医者でもある。
 そのため、薬物の素材を集めるため、よく館から出て一人旅をしていた。
 その過程でパーティ以外の人々と多く触れ合い、人々の求める「愛」とはなんであるのか、という事に強い興味を持ち、生涯の研究テーマとするようになった。
 その風来坊的なライフスタイルから、各地で色々な情報を集めては館に持ち帰りパーティの役に立てていたが、しばしば厄介事まで引っ張りこんでいた。


○生まれと仲間になった経緯
 大気に満ちる魂が、とある廃城に差した紅い月の光と習合して生まれた存在。
 紅い月は、古くから愛や結婚、出産のシンボルとして信仰されていた。
 紅い月が出ている夜に、廃城とその周辺に出没して、人に幻を見せ劣情を引き起こすなどし、それによって人々がどのように行動するかを観察していた。
 時には自ら人を誘惑して廃城に引き込んで人体実験を施し、それによって発狂死させる事もあり、畏れた人々が名うての冒険者となっていたリーダーたちに討伐を依頼した。
 その後の経緯は他の仲間たちとあまり変わらず、リーダーがモコと名付けて仲間に引き入れた。
 名前と理性を得た後には、愛という感情への興味、ひいては人間や生物に対する興味を強め、それを研究するための手段として医師、薬師としての研鑽を更に積むことになる。
 館の自室は、怪しげな薬とその素材の保管庫、及び実験施設のような趣で、更に書き留めたメモやノート、医学系の書籍が雑然と書庫に収められている。
 館の維持整備に全てをかけていたキキさんですら手を付けることの出来ない、そこは魔窟であった。


○能力とパーティでの役割
 光と闇、そして人の感情のような「形を持たないもの」を操る術を得意としていた。
 光を自在に扱って幻を描き、戦闘においては敵を幻惑する。
 また薬物アイテムを扱い、傷薬で味方の傷を癒やし、毒薬で敵の力を削いだ。
 それ以外にも爆薬や農薬など、物理的な力を持った化学系アイテムの取扱にも長け、それらは時に術以上の効力を発揮していた。
 光を操る術は、ただ幻として虚像を結ぶだけではなく、光を極度に集中させることにより熱などの物理的な効力を発生させる事もあった。
 基本的には後方からのパーティ支援が主な役割だったが、前線に立たなければいけない鏡面では、収斂光のレーザーカッターを利用した物理攻撃を行う事もある。
 光を用いて竜の姿を虚空に描き、怯んだ敵に収斂光を放って焼き払う「竜幻術」を奥義としている。
 薬物に関しては、作り出すための素材が必要なため無尽蔵に使うことが出来ず、リーダーが去る以前でも積極的に遠出して、様々な素材の採取を行っていた。
 そのため、肝心な時に館に居ないということが少なからずあった。


○一言紹介とその後
 最後にパーティに加入したトラブルメーカー。インフォームド・コンセントをする気のない医者。
 月の光のような幻惑的な美しさのため誤魔化されるが、気分屋で行動方針も一貫せず、しかも知的好奇心に任せて勝手な行動を取るので、ルサやキキさんにとっては最も扱いにくい後輩でもあった。
 作戦会議などではよく発言するものの、彼女の案が採用されることは稀。
 考え方は理論的なのだが、「何故その結論になるのか」の過程をほとんど説明せずに提案するため周りから理解されにくく、その上、作戦行動中に別の要素が入った場合には自分の中だけで結論を書き換えるので、周りとの齟齬が生じやすかった。
 せめて報連相をちゃんと行うクセがついていれば、ルサたちももう少しやりやすかっただろう。
 医者として人と接していても、説明が足りずに誤解を招くことがしばしば。
 医療に関しては技術も知識も確かなため、難病を癒やした彼女を女神として崇める地域も多いが、その評価は場所によって毀誉褒貶が激しい。
 リーダーが異世界へ旅立った後は、「愛」とは何かの研究を極めるため、流しの産婦人科医として各地を放浪し、人の中を流れ歩いていた。
 ある日、とある農村に立ち寄った際、旧家の令嬢を診てほしいと頼まれる。
 その令嬢は生まれつき身体が弱く、モコが看た時にはすでに死の寸前だった。
 モコは「延命は無理であり、身体の痛みを取り除き、精神のケアをすることしか出来ない」と両親に伝える。
 そして彼女が医師としての無力感に苛まれた時に、ある出会いが発生するのだが……。

 それはまた、別の話である。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


なんとなく、字ばかりで寂しいので。
キキさんのアルバイト』のために作った「その後の話」用の表紙や、ボツになった第四話用の表紙など上げておきます。

第四話表紙ボツシルエット.jpg

その後の話 表紙.jpg

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