「醸し人九平次 別誂え」と酒肴


先日飲んだ、萬乗醸造のフラッグシップモデル「醸し人九平次 別誂え」と、それを飲む際に作った肴の感想など。徒然と書いていこうと思います。

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さて。まずは主役のお酒から。

裏のラベルはこのようになっていました。
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精米歩合35%……つまりは雑味を減らす目的でお米を削って、使うのは中心部の35%のみ、という贅沢アンド本気仕様。さすが寛政創業の老舗がフラッグシップとするだけの事はあります。

開けてみると、日本酒のレビューでよく使われる「果物のような香り」が。
そして、小さくシュっと空気の抜ける音……。

とりあえず、いつも使っている錫の酒器と、それとは別にグラスに注いでみます。

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錫の酒器は、明らかに酸味や苦味などを軽減する効果(イメージとしてはそういう味の成分を分解している感じ?)があるので、九平次の場合はどういう違いが出るのかを試してみたかったのです。

結論から書くと。
このお酒は、グラスで飲んだほうが良い、でした。

それを説明するために、まず九平次の味のイメージを書きます。

最初の一口目で驚いたのが、発泡性の舌にピリピリくる感じがありました。生貯蔵酒などでよくある、あの感じです。
味としては、凄く上品というか、バランスの取れた感じで、深みも旨味もあるのだけどキレがあって、澄んでいて、かつ染み込んでくるような……。

澄み渡る」という表現をしたい……そんな味でした。

もう一つ、発泡性の刺激も含め、「日本酒らしい日本酒とは言い切れない」とも思いました。

確かに日本酒なのだけど、別のお酒(例えばワインのようでもあったり?)のような感じもある、というのが自分のイメージ。

ラベルが和テイストを保ちながらもワインを思わせるものだったり、裏ラベルに「ワイングラスで」と書かれていたりするので、おそらくは蔵元が確信を持ってそいう作りにしているのだと思いますが、これは日本酒を否定しているというのではなく、日本酒という枠を超えて「旨い酒」を作りたかったのではないか……という老舗の意地と誇り、そして確信を持って物を作る人間の凄みを感じました。ラベルから味まで一貫した思想があるのだと思います。

さて、普段安酒しか飲んでいない人間の御託はここまでにして。
先にも書いた錫の酒器が、なぜこの酒に合わないと思ったのかと言うと。

この九平次の味は、キレが良くて澄んでいるのだけど、その味の構成要素に「酸味」があるからでした。
これも心地よい酸味で、酸味だけ突出するわけではなく他の要素とバランスよく渾然一体となっているのですが、錫の酒器に注ぐとこの酸味が弱くなり、それによってお酒全体のコクが弱まって、味のインパクトがぼやけてしまう感じがしたのです。

実は以前、自分が飲んだ中では最も高価なお酒だった「王者」を飲んだ時、似たようなことを感じた記憶があります。
王者は「様々な味が豊かに混ざっているのに飲みやすい」という感じのイメージだったのですが、酸味や苦味もその美味しさを構成する要素であり、決して不快な味だったり雑味ではありませんでした。
錫の酒器を使うと、確かにスッキリはするのだけど、味のクセも弱めてしまうような感じがありました。

ちなみに、この王者の入っていた木箱は、今、錫の片口とぐい呑を保管するために使っています。
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結局、九平次はその日のうちに飲みきらず、次の夜に続いて飲みました。
再びキャップを開けると、昨日よりも強いシュっという炭酸の抜ける音が。

飲んでみると、炭酸の刺激はかなり薄れていて、それに伴って味の性格も変わった感じ。
もともと持っている味が深いので、炭酸が薄まってもコーラのように「気の抜けた」という印象になるわけではなく、よりお酒の味が感じられるようになったように思いました。
マイルドになって、より日本酒側に着地したイメージ。

どちらが良いかは好みの問題だと思いますが、裏ラベルに書いてあった「開栓直後から時間軸と共に印象が変わっていきます」というのを楽しめました。

ただ、個人的な好みというか、やはり最初に予想外だった発泡性の刺激を味わったインパクトが強かったのは確かでした。

さてさて。
今回は大量に酒肴も作っていたのですが。
とりあえずそれはまた今度に書こうと思います。

この記事へのコメント

  • yuki

    GA文庫大賞投稿、お疲れ様です。
    何事も良し悪しは人に見て貰ってナンボ。
    人に言われて気付く事も多いでしょうし、そもそも意見や評価を貰える場というのも少ない・・・積極的に活用するべきだと思います。
    但し、好き嫌いに関しては人の意見はあくまで参考意見。
    好きなものの良さを人に伝える表現力と言語力が欲しい・・・とそれはさておき。

    年末に飲もうかと思っていた「醸し人九平次 別誂え」。
    読んでいたらますます飲んでみたくなりました。
    まぁまずは買えるかどうかが問題なのだけれど。
    幸い?去年の九平治はハズレだったらしく。
    警戒されて買い控える人が多いのか、今年は在庫が多めだとか・・・(ネット情報)
    とりあえず、週末にでも酒屋を覗いてみようか、と思っていたりします。
    2017年12月04日 22:32
  • ロキ

    >>yukiさん

    GA文庫への投稿は、個人的にはやはり見てもらいたい欲、そして評価されたい欲、あわよくば賞金を貰いたい欲の現れですね。
    また、「締切」が無いと何もしなくなる自分なので、尻を叩くという意味も(Mではないのよ)。
    ちなみに、来年の5~6月ぐらいまでに、また別の賞へ応募するための小説を書き始めていこうかとも思っています。

    それにしても。
    「醸し人九平次 別誂え」は、さすがの美味しさでした。
    今年のはハズレではないと思います……というか、あれがハズれだったら、当たり年はどれだけ美味いのだ、という事に。

    飲むまでのワクワクした期間も含め、本当に楽しむことが出来ました。ありがとうございます。
    2017年12月06日 16:24