キキさんのアルバイト その後の話その3 お見合い編05 「お見合い(告白)」構成

キキさんのアルバイト その後の話のお見合い編。

今まではヘタれていたルサですが、この時点ではもう腹をくくっています。
腹をくくった彼女は強く、果敢です。



05.お見合い(告白)

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釣書にあった通り、最初はとある森を護るための戦いだったのですが。しかしあの活動がなければ、辺境の山河の民達に抵抗運動のうねりが波及すること無く、同胞である「人ならざる者たち」は今頃活動範囲を大幅に狭めてしまっていたかもしれません。
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人間たちが活気づいたのは、俺達が起こした戦争に勝利した事に起因する。俺たちもまた「人ならざる者」だけに、それで余計に同胞たちへの差別が進行した面もある。
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人間たちに対しても、同胞たちにとっても、つくづく疫病神だったな俺たちは。その後始末を任せることになってしまった。ゲーエルーが頭を下げた。
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(ドアの外で、モコが何恋愛と関係のない話に持っていっているんですかぁとつぶやく)
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ルサは慌てて手を振って否定する。
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いいえ。人間たちの横暴はあれに始まったものではありません。もともと数が多く、平地は彼らのものでした。人口が増えれば、我々の領域に手を出してくることは、遅かれ早かれ避けられなかったでしょう。
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歴史の流れが、ああいう形になったに過ぎません。
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それに、戦をこう表現するのはなんですが、リーダーが旅立って冒険者を辞めた私にとって、あれは充実した時間ではありました。家族に準ずると思うほどの仲間も出来ましたし。
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(ドアの外で、キキさんが、ルサ先輩って、こういう話し方も出来るんですね、とつぶやく。モコが、私達の前では、もっとガッハッハって感じですよねぇ)
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そうか。まあ、歴史ってのは善悪で測れるものではないのかもしれん。大きく関わったオレ個人としては、自責と後悔ばかりが募るがな。
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そうなのかもしれません、でも……とルサが言う。北の地から降りてきてくれなければ、今、私はこうして「お見合い」をすることはなかった。
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(ドアの外「!!」)
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その言葉に、真摯なものを感じてゲーエルーがルサを見る。
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ルサは居住まいを正して、視線を受け止める。
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初めてお見かけしたときから、好きでした。
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私は、このお見合いをセットしてくれた後輩たちに心から感謝しています。ゲーエルーさん。よろしければ、ただ一対の男女として、お付き合いを願います。
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(静かな口調の中に、情熱的とも言っていい熱がある……それに当てられてドアの外ではキキさんとモコが赤面してうつむいていた。なんかちょっと……。罪悪感を覚えますねぇ……。)

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