キキさんのアルバイト その後の話その3 お見合い編07 「ゲーエルーの過去」構成

ルサの告白を受けて、ゲーエルーはそれに対して真摯に受け答えをします。

彼にとってミティシェーリの存在はどうしようもなく大きく。
ルサの告白に対して、まずそれを説明するところから初めます。


07.ゲーエルーの過去

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オレと姉御は、生まれた北の地では幼馴染として育った。仲が良かったのは他にもあと二人、歴史に名前が残っているアニメート使いの女術士ヴァーディマと、もう一人、ムッシーナという男が居た。
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幼い頃からヴァーディマとムッシーナは好きあっていて……まあ、オレと姐御もそれに近い関係にあった。
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ムッシーナは国教会の「戦史書」に名前がないからあまり知られていないかもな。オレも戦史書では大した扱いではなかったが。
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それはともかく、北の地でもミティシェーリの姐御は人気があった。華やかで、明るくて。だから、オレが独り占めするわけにも行かず……まあ、二人きりでイチャイチャできるヴァーディマとムッシーナを羨ましく思ったこともあったな。
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それでも、俺は特に能はなかったが、とにかく喧嘩だけはバカみたいに強かったから、いつも姐御の側にいて、その護衛役を買って出ていた。それは幼い時分のオレの誇りでもあった。
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長じて、姐御が氷結晶を作り始めると、その人気は鰻登りに高まった。氷結晶目当てに、あるいは姐御目当てに多くの氷の種族の若いのが集まって、いくつかのグループを構成した。
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オレの、姐御の護衛役としての役割は日を追うごとに大きくなった。なんせ、姐御にアピールしようとバカをやったり、思い余ってかっさらっていこうするやつまで出てきたからな。
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だが、オレ達が集まることに大人たちはいい顔をしなかった。若いの……とは言ったが、社会の中でも真面目な方ではなく、むしろイキがって居た奴らが多かった。社会からちょっとはみ出しかけた、そんな集まりだった。
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そんな集団だったから、逆に当時の大人たちへの反感も強かった。氷結晶で下の大地に降りる事ができると知って、それはもちろん好奇心もあったが、大人たちへの反感もあった。
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まあ、そんな血の気の多い集団が、いくつかのグループに分かれてぞろぞろと北の地から出てきたわけだ。
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姐御を含め、俺たちはその中でも先陣をきったグループにいた。
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最初は、下の大地の人間たちとも、それなりに友好的に接していた。
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酒場で一緒に酒盛りもした。あのBARで出された望楼……あれもその頃に飲んだ。
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この頃が一番楽しかったな。今でも時を巻き戻せないものかと、本気で思うことがある。自分の肉をかきむしりたくなる衝動にかられながらだが。

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