キキさんのアルバイト その後の話その3 お見合い編08 「戦争への道」構成

ミティシェーリの事を説明するゲーエルー。
それは彼の過去の話であり、氷の種族と人間たちが戦争に至った話となります。



08.戦争への道


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知っての通り、俺達とは別のグループが人間たちと対立。それが飛び火する形で、俺たちも人間に襲われた。今思えば、もっと連絡を密にして、ちゃんと計画を立てて交流をすれば防げた争いだった。
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言い訳になるかも知れないが、姐御はそれをしようとしていたし、そのための努力もした。
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しかし、事態はそう上手くは運ばななかった。
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もともと常識などが全く違い、すれ違いも重なって、結局オレたちと下の大地の人間達は、抜き差しならないところまで行った。
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人間たちに仲間が殺され、俺たちもまた復讐に酔った。
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散発的な戦闘では、最初は俺たちは負け知らずだった。なんせ一人一人の戦闘力が違う。俺たちが操る冷気は、簡単に人間たちを凍死させる。
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だが、ある時期から人間たちは団結し組織的にオレたちを追い始めた。
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色々と上手く行かなくなって、グループごとに別れていた俺たちも集合し始めた。その流れで、カニエーツで人間たちの軍隊と全面衝突した。
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カニエーツは勇者が頭角を現した最初の戦場だった。最初から、ヤツは姐御を狙ってきた。俺たちが何でまとまりを保っているのか、ヤツは最初から分かっていたんだな。
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認めたくはないが、この時点で姐御が死んだら、あるいは俺たちは早々にバラバラになって、北の地へと逃げ戻っていたかもしれん。なんせカニエーツやここ最果ての森は北の地に近い。
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だがオレは、その時にはなんとか姐御を護り抜いた。しかし、その後のオレたちは敗走の連続だった。
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今と違って、まだ実際的な力を持っていた王族を中心に討伐軍が組織され、奴らの軍事力は日を追うごとに高まった。
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勇者と、それを組織的に支援する勇者後援会の組織力と情報網も大きかった。
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俺たちがなにか作戦を立てても、だいたい奴らの情報力に察せられて上をいかれた。
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人間たちの軍を抑えきれず、北の地から離れるように、東へ、南へと逃げながら、俺達は少しずつ数を減らしていった。
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そして撤退戦の途中。幼馴染の一人ムッシーナが戦死した。
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北の地に居た頃からの恋仲だったヴァーディマは絶望して、その日以来、性格が一変した。
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それまでは、姐御とともに何とか和解の道を探っていたのが、積極的に戦場に出て、人間の兵を殺すようになった。
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そして、それまでは禁じ手にしていた「死体へのアニメート」を積極的に使うようになった。
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この術のおかげで、俺達は一時的に盛り返した。なんせ、倒した敵軍の死体を兵として使い捨てることが出来る。手駒の少ない俺達にとっては大きな戦力になった。
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だが、これのおかげで、あり得たかも知れない和解の道は完全に閉ざされた。
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まあ、当たり前だわな。仲間を、身内を、戦友を。父を、息子を、兄を、弟を。殺された挙げ句に心を持たない手駒として使われ、剣を交える。人間たちの決定的な憎悪を煽った。
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姐御も、ここに至って和解の道を諦めた。ただ、なんとかして人間たちの手の及ばない場所へ逃げようと考えていたが、悪いことに俺たちは北の地から離れる形で敗走を続けていたんだ。
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そしてオレは、常に姐御の一番そばに付き従い、護衛官としての役目を果たしていた。ケンカ以外に能がないオレには、ただそれしか出来なかった。

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