キキさんのアルバイト その後の話その3 お見合い編10 「戦いの末に」構成

ゲーエルーさんの過去語りの最後。
敗戦後。
そしてミティシェーリを守れなかったことへの悔恨を話します。

10.戦いの末に

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あとはもう、三々五々、逃げ出すしか無かった。周りは四面楚歌。組織的な撤退戦など出来るはずもない。生き残っていた仲間の殆どが捉えられ、殺された。
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特にヴァーディマはひどかった。姐御の死によって戦意を失い、落とされた姐御の首を抱えて茫然自失としていたあいつは、なだれ込んできた兵に捉えられて、数日に渡って苦しめられ、殺された。
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もっとも、それは後で知った話で、オレはそんな地獄を尻目に、何とか包囲を切り払って砦を脱出した。他にも何人か生き延びているが、それもごく少数だった。嬢ちゃんは目にしていたようだが。
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その後、オレは身を隠しながら各地を放浪した。北の地に逃げ帰ろうとしたが、同胞たちは頑としてオレや、他の生き残りを受け入れなかった。どうやって状況を知ったのかは知らないが、とにかく災厄を呼ぶ者として、俺達は追放された。
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それから100年経つ。過去のことではあるが、オレはあの日々の事を昨日のように感じているし、今なお後悔と自責の念が強い。
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そしてその最大の後悔は、姐御を、愛した女を護り切れなかった事だ。
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ルサ:ゲーエルーさんは、勇者を恨んでいる?
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ゲーエルー:恨みもある。冷静に考える自分もいる。ヴァーディマがアニメートを使った時点で、もうオレたちも人間たちもタガを外していた。
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人間側に立つ勇者が、被害をもっとも少なく状況を納めるには、姉御の首を取るのが最善の方法だったのは理解している。
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捕らえようと思えば捕らえられたであろうに、姉御の首を一刀で落としたのも、ヴァーディマの死に様を知ったあとならば、ヤツの慈悲だったのかもしれないとすら思う。後の嬢ちゃんへの対応を見るに、ヤツは復讐に酔ってはおらず、とにかくもっとも穏便な形で戦を終わらせる最善の道を求め続けていたのだろう。
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だが、それでもなお。オレの前で、ヤツは姉御の首を落とした。
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それについては、理屈ではなく、理解できるが理解するつもりもない。ただ、オレは奴を許せないし、姐御を護り切れなかった自分を許していない。

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