キキさんのアルバイト その後の話その3 お見合い編12 「館のやり方」構成

館のやり方……ひいてはキキさん達のパーティの取り決めですが。
何か裁定が必要となった時に、腕っぷしで決めるという、かなり乱暴な方法。
キキさんは「頭の悪いやり方」などと言います。
しかし、ルサが強引にでもゲーエルーと付き合うには、彼女は最終的にはこのやり方で行くしかないとも考えています。

そして、それはゲーエルーの実力を知ってなお、初回の一騎打ちならばルサが勝つという先輩への信頼でもあります。

12.館のやり方


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まあ、そうなんだろうな。砦跡でキキさんに聞いた「先輩」の話や、噂に聞く山河の義勇軍のリーダーの性格は、即断即決を旨とする果断なリーダーのそれだ。攻めをもって護りともする、そういうタイプだ。
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オレとは反対だな。
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まあ、義勇軍のリーダーには、よく方針を違える割といきあたりばったりなタイプという印象もあったがな。
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(ドアの外で、キキさんとモコが、うんうんとうなずく。先輩は判断は早いけど、失敗と思った時の見切りも早い)
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この館へ来て、ルサさんがその先輩であり義勇軍リーダーだと知って随分びっくりした。おとなしすぎて、聞いていたイメージに合わないと。
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義勇軍は優秀な手駒が育ちましたが、絶対数が少なかったから、一つの方針に固執してしまうとジリ貧になることが多かったので、状況に応じて臨機応変な対応も求められたのですよ。
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それに、仲間には長期的な計画を立てるのが得意な参謀も居ました。私も随分とそれに学んだつもりですよ。
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(ドアの外で、キキさんとモコが、先輩が長期的計画を……?)
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それに、とルサが笑う。今までは猫をかぶっていました。
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ゲーエルーが笑う。それで、猫の皮を脱いで攻めに転じるとは、具体的にはどうするつもりだ?
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ルサが言う。ゲーエルーさんに、この館のやり方を押し付けようかと。
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館のやり方?
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この館を拠点としていた冒険者時代。リーダーもいましたが、私は古株としてサブリーダーの役割を努めていました。しかし、後輩たちはキキやモコを見ても分かる通り、とにかくクセの強いタイプばかりで……。
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(ドアの外でモコが、でもルサ先輩が一番クセが強いですよねぇ、と言うが、キキさんはただモコをジト目で見る。その目が、一番クセが強かったのはお前だと雄弁に語っている)
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揉め事なんてしょっちゅうでした。その際にそれを裁定するのは、リーダーが居ない場合には私の仕事で。
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でもまあどちらの言い分を認めても別にどっちでもいいような案件も多く、そういう場合は一騎打ちで白黒を付けさせていたんです。
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それがこの館のやり方でした。
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それはまた、随分と乱暴な。
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キキあたりは、頭の悪いやり方だと言います。実際、問題が複雑でこの方法が適さない案件だと判断した場合には、裁定をリーダーに任せ、時間をかけて解決していましたし。
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しかし即決でき、かつ後に引きずらないという意味では有効なやり方だったんです。もっとも、お互いに信頼があり、かつ皆が実力伯仲で、一人勝ち、一人負けが殆ど無かったからこそ可能だったやり方でもありますが。
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ふむ、聞きたいのだが、殆ど、ということはそうではない部分も?
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私の存在です。私も欲しい物があったときや、譲れない事があったときには一騎打ちに望んだこともあります。ただし、それは本当に差し迫った時だけにしていました。
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(ドアの外で、キキさんとモコが、嘘だ、割とよく決闘に持ち込んできた、と目をむく)
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それは何故?
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不公平だったからです。私だけは、やろうと思えば一人勝ちすることも出来ましたから。

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