キキさんのアルバイト その後の話その3 お見合い編14 「ミティシェーリからゲーエルーを奪うためのたった一つの冴えたやり方」構成

一騎打ちの賭け試合の約束を取り付けるルサとゲーエルー。

その二人に、似た者同士……という感想を持つ後輩たち。

ちなみに。
モコの持つ能力はロマサガ1で言うところの「幻術」や「光術」。
作品中では、「光を操る」という設定で、その能力を使っての光学迷彩による姿隠しや、逆にリアルな立体像の投影、あるいは収斂光による熱攻撃など多彩。

モコもキキさんもハイレベルな冒険者であり、気配を消す術も心得ていますが、それを凌駕する探知能力をルサとゲーエルーは発揮します。

もっとも、ルサの場合は「後輩たちならばこういう行動に出るだろう」という確信もあって気配探査をし、ゲーエルーに至ってはルサの言動で二人が隠れていることを察知しての言動だったりもします。


14.ミティシェーリからゲーエルーを奪うためのたった一つの冴えたやり方



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場面はドアの内側、お見合いの席に戻る。
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ゲーエルーが言う。館のやり方は分かった。だがオレは外から来た存在で、館の掟に従う理由はないと思うのだが?
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そうでしょうね。しかし、それ以外に私がミティシェーリからあなたを奪う手段が思いつきません。搦手から攻めるのも苦手ですし、そもそもそんな駆け引きをした所で無意味でしょう。
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私にも、チャンスをくれませんか?
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ゲーエルーが言う。オレには、かつてキキさんと砦跡で手合わせをした際、さほど苦もなく彼女を取り押さえた実力があるぞ。あのときには、あれがメイドの技かなどと思ったが、まあ、今は納得している。
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(ドアの外側で、モコがキキさんを見る。それルサ先輩にも話していませんよね。キキさんが目をそらしながらしぶしぶとうなずく。仲間にも話していない辺り、負けず嫌いは相変わらずなんですね)
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オレは、あの時よりは多少は強くなっている。もしも一騎打ちでキキさんと互角程度ならば、この線での希望は持たないほうが良い。そしてオレは、剣を握った以上、決して手を抜くつもりはない。
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猫を脱いだルサは、戦う者としての駆け引きという意味も込めて、余裕の笑顔を浮かべる。
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体術だけでは、私では相手にならないでしょうね。しかし、私は術士ですし、術の使用をする以上、剣士に負けるつもりはありません。
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ゲーエルーも笑う。こちらはあまり駆け引きの意図はなく、そういう話が好き。自信家だな。だが、そういうのは嫌いではない。
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ルサが聞く。放浪中、賭け試合くらいはやったことがあるのでは?
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あるある。負けたことはないがな。
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では、私も賭け試合を申し込みます。勝ったほうが、相手に一つ言うことを聞かせる。館のルールとして、勝敗を根に持つことはしない。
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単純でいいな。オレの方としても、再び猫をかぶらせない事を強制できるのが良い。
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だから。その賭け。乗った。
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ゲーエルーが挑戦を受け、そして言う。
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オレの好みとしても、猫をかぶっていないルサさんの方が好きだ。
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その言葉を聞き、ルサが顔を赤くする。
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一騎打ちは、いつでも良い。なんとなれば、今すぐにでも。
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ルサは、少し考えてから答える。……いいえ、明日の昼前にしましょう。
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私、今、少し興奮しておりますので。
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ルサが立ち上がって部屋を出る。
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キキさんとモコは、モコの幻術で光学的に姿を隠しているが、ドアを開けたルサは目で探さずに二人に言う。
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一騎打ちが決まった。聞いての通り、明日の昼前。悪いが中庭をいつも通りに準備をしておいてくれ。私は少し、部屋にこもる。
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ルサの後をついて出てきたゲーエルーが、目には見えていないはずの二人を指差して言う。そういう事だ。自己紹介の文を書いたり、長々と喋ったりと頭が疲れたが、しかし良い場を設定してもらった。おかげで久しぶりに腕が鳴るぞ、礼を言う。
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二人が視界から消えた後、姿を表したキキさんとモコがため息をつく。
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なんというかぁ……。
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随分と相性がいいですね、あの二人……。

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